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1.保 険 料
生命保険料控除 個人が生命保険金を受け取った場合,その取得者に課せられる税は所得税,相続税,贈与税のいずれかであり,保険料の負担者と受取人,被保険者の関係によって次表のようになる。
(1)相続税がかかる生命(死亡)保険金 被相続人の死亡により被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の保険金や,偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われる損害保険契約の死亡保険金(以下「生命保険金等」という。)を相続人その他の者が取得した場合には,その取得した保険金のうち,被相続人が負担した保険料の金額に対応する部分は,保険金の受取人が相続又は遺贈によって取得したとみなされる(相法3<1>一) これを算式で示せば次のとおりである。 (算式)
●相続・贈与と保険税制「相続または遺贈により取得したとみなされる生命保険金」を参照。 (2)贈与税がかかる生命保険金,生存保険金 生命保険契約の保険事故(傷害,疾病その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く。)の発生により生命保険金を受け取った者がその契約にかかる保険料の全部または一部を負担していない場合には,その保険事故が発生した時に,その保険金のうち,その保険金受取人以外の者が負担した保険料の金額に対応する部分は,実際に保険料を負担した者から,贈与によって取得したものとみなされる(相法5)。 (ア)自動車損害賠償責任保険契約に基づく保険金 (イ)自動車損害賠償責任共済契約に基づく共済金 (ウ)原子力損害賠償責任保険契約に基づく保険金 (エ)その他の損害賠償責任に関する保険や共済にかかる契約に基づく保険金や共済金
<1> 満期保険金や生存保険金をもらった場合 保険金受取人以外の者が保険料の全部または一部を負担している生命保険契約の期間が満了または期間の途中で満期保険金や生存保険金を受け取った場合,これらの保険金等のうち次により計算した金額は,その保険料の負担者から贈与によって取得したものとみなされる(相法 5)。
<2> 人の死亡により保険金を取得した場合 保険料の負担者である被保険者の死亡により保険金を取得した場合には,その保険金の受取人がその者の相続人であれば相続により,その他の者であれば遺贈により取得したものとして,その保険金のうち被相続人(被保険者)が負担していた保険料に対応する金額に対して,相続税が課税されることについてはすでに説明したとおりである。
〈設 例〉 甲は,父が死亡したことにより,死亡保険金2,000万円を受け取ったが,この保険の払込済保険料の金額は700万円で,うち350万円は甲,350万円は乙(甲の兄)が払い込んでいる。
<3> 返還金等を取得した場合 上記<1>,<2>についての取り扱いは,生命保険契約の解約,失効などにより返還金その他これに準ずるものの取得があった場合についても,準用される(相法5<2>)。 <4> 傷害保険金と贈与税 生命保険契約の保険事故が発生した場合で,その生命保険料の全部または一部を保険金受取人以外の者が負担していたときは,保険金受取人は,受取人以外の人が負担した保険料に見合う保険金部分を贈与によって取得したとみなされることになっているが(相続または遺贈とみなされるものを除く。),この生命保険の保険事故には,傷害,疾病その他これに類する保険事故で死亡を伴わないものは含まれない(相法5<1>)。つまり,傷害者自身およびその配偶者・親族が受け取る傷害保険金は非課税扱いとなる(所基通9−20)。 (3)所得税がかかる生命保険金,生存保険金 生命保険契約の保険金受取人が取得する満期保険金,死亡保険金,生存保険金などのうち,その保険金受取人が保険料を負担していた保険金については,その受取人の所得として所得税が課税されるが,生命保険契約の保険金のなかには,相続や遺贈,贈与によって取得したものとみなされ,相続税や贈与税が課税されるものがある。この相続税や贈与税の課税の対象となる保険金に対しては所得税は課税されない(所法9<1>十五)。
イ 一時所得の総収入金額には,保険金のほかにその保険金とともにまたはその保険金の支払いを受けた後に支払いを受ける配当金や配当で買い増しされた増加保険金もその年分の総収入金額に含まれる。 ロ 保険料の総額(収入を得るために支出した金額)は一時金の支払いの日前に受けた剰余金や割戻金を差し引いて計算する。また,配当で増加保険金の買い増しをする保険契約では,表定保険料×払い込み回数となる。 保険金受取前に保険料負担者が死亡,その生命保険に関する権利の評価額に対して相続税が課税されたときは,保険契約を引き継いだ新しい契約者がもとの契約者が負担した保険料も負担していたことになるので,その保険料も含め「収入を得るために支出した金額」とする(所基通34−4,相基通3−35)。払込免除による保険料は必要経費(収入を得るために支出した金額)にならない。 ハ 一時所得の特別控除額は,50万円である。ただし,総収入金額から収入を得るために支出した金額を控除した残額が50万円に満たない場合には,その残額相当額で打ち切りとなる(法34<3>)。
●生存保険金等の受給時における必要経費(収入を得るために支出した金額)について 普通終身保険契約や定期保険特約付終身保険契約においては,その契約内容に一層の魅力をもたせるために,保険料払込期間中に生存給付金を給付するいわゆる生存給付金内蔵型のものや,また契約期間中の毎年の配当金を満期時を同じくする一時払保険料に充当し保険料払込済時点ならびにその後は一定時期に生存保険金(長寿祝金などと呼称しているものもある。)を給付する契約などが設計され販売されている。 ・保険料払込済時までに払い込まれた保険料累計額 30万円×20(年分)=600万円 ・保険料払込済時に生存保険金300万円が支払われたとき 300万円(生存保険金)−300万円(既払込保険料600万円から)=0 ・保険料払込済後5年経過したとき 200万円(生存保険金)−200万円(既払込保険料600万円−生存保険金300万円から)=0 ・保険料払込済後10年経過したとき 200万円(生存保険金)−100万円(既払込保険料の残額)−50万円(一時所得の特別控除額)=50万円
・保険料払込済後15年経過したとき 200万円(生存保険金)−0(既払込保険料残額)−50万円(一時所得の特別控除額)=150万円
所得税と保険税制「満期(死亡)保険金…」を参照。 個人契約「個人年金」を参照。
配当金の支払いを受けた場合の課税関係は,その配当金が契約期間中に支払われるものであるか,保険金とともに支払われるものであるかによって異なる。 (1)相殺配当,現金一括配当 これらの配当方法により支払われた配当金については,税務上保険料の割り戻しと考えられ,課税所得は生じない(所得税・住民税とも)。 (2)積立配当(自由引き出し) 配当金が契約期間中に支払われる場合には,その配当金には所得税も住民税も課税されないが,その年の生命保険料控除額を計算するときには,支払保険料の金額から控除することになる。また,この配当金が,保険金とともに支払われる場合には,相続税あるいは贈与税または所得税の課税に当たって,その配当金は保険金の額に含めたところで計算されることになる(相基通3−8,同5−1,所令183<2>)。解約返戻金を受け取る場合も同じ扱いとなる。
満期を迎えた時に,それまで受け取った配当元利金の合計額を当該契約等に係る保険料累計額から差し引き,その残額(正味保険料累計額)を満期保険金等いわゆる一時金から差し引き一時所得を計算することになる。
(3)積立配当(最終指定時まで積立) 配当金の積み立て時ではなしに,契約終了時に受取保険金等と合わせて課税対象とされる。 (4)保険金の買い増し(増加保険金) <1> 保険金の買い増し時に課税所得は生じない。 <2> 生命保険料控除は表定保険料額で行う。 <3> 買い増しされた保険金(増加保険金)は受け取り時に課税(主契約満了前に増加保険金のみ支払う契約もある。)。 増加保険金の課税については,増加保険金は一般に配当金で買い増す一時払養老保険,あるいは元契約と相似形の定期付養老保険などであるが,この増加保険金を主契約の満期前に受領し,その年の一時所得となる場合の必要経費については,元契約の既払込保険料累計額から増加保険金額相当額だけ差し引けばよいだろう。そして,満期保険金受取時には元契約の既払込保険料累計額の残額を満期時受取金額から差し引くことになる。 (5)死亡保険金受け取り時の配当金の課税関係 <1> 死亡保険金が贈与とみなされる場合,死亡保険金と同時に取得した配当金の税務 保険金が相続税法5条1項に基づき贈与とみなされる場合,この保険金とともに取得した配当金は,保険金の中に含めて贈与税が同様に課せられる(相基通5−1)。 <2> 死亡保険金が相続又は遺贈とみなされる場合,同時に取得した配当金の税務 (イ) 昭和57年5月17日の相続税法基本通達の改正により,保険金の中に含めて相続または遺贈として同様に課税される(相基通3−8)。 (ロ) 相続税法12条1項5号による相続人1人につき500万円までの死亡保険金の非課税扱い は,配当金を保険金の中に含めて非課税の対象となる(相基通3−8)。 (6)解約,消滅時の配当金の課税関係 解約,消滅時に受け取る配当金の税務上の取り扱いについては,満期時の配当金の受け取りと同様であるので,次を参照ください。 (7)満期保険金受け取り時の配当金の課税関係 <1> 満期保険金が一時所得の対象となる場合{契約者(=保険料負担者)=保険金受取人} 一時所得となる満期保険金とともに取得する積立配当金等については所令183<2>一に基づき,一時所得に算入される。 この場合の一時所得の金額の計算を算式で示すと,次のとおり。 なお,増加保険金を同時に受け取る場合の計算については次のとおり。 (主契約保険金+増加保険金+その他支払いを受ける金額)−(表定保険料)−(一時所得の特別控除額50万円)=一時所得の金額 <2> 満期保険金が贈与の対象となる場合{契約者(=保険料負担者)≠保険金受取人} 贈与の対象となる満期保険金とともに取得する配当金については保険金の中に含めて同様に贈与とみなされる。(相基通5−1,同3−8) (8)年金支払い時の配当金の課税関係 年金支払い開始日以後に取得する配当金は,その年分の雑所得に算入される(所令183<1>一)。
契約内容の変更には次のようなものがある。 払済,延長,復旧,増額,減額,期間変更,契約者変更,受取人変更等 このような契約内容の変更について,現実に個人の税務が関係するもののみ取り上げてみることにする。 (1)生命保険料控除関係はどうなる <1> 払済,延長への変更に充てられた解約返戻金相当額については,生命保険料控除の対象にならない。 <2> 復旧,増額,期間変更,中途増額等によって支払われた所要の金額は生命保険料控除の対象となる。 (2)払済・延長保険への変更時 払済保険,延長保険への変更は単なる変更に過ぎないので,課税関係は生じないと考えられる。 ただし,変更時に精算された契約者貸付金や振替貸付金などがあった場合は,契約変更が行われた時点で,契約者に対してそれらのものが支払われたと考えられるから,一時所得あるいは贈与としての課税関係が生じることになろう。 (3)増額への変更時 増額への変更時には,一般に課税関係は生じない。一定条件さえととのっておれば,追加保険料は生命保険料控除の対象となる。 (4)減額への変更時 減額に伴って,払戻金を受け取った場合については,満期保険金の受け取りと同様,保険料負担者と受取人の関係で一時所得あるいは贈与として課税される(所令183<2>,相法5<2>,相基通3−39,同5−6)。 <1> 保険料負担者と減額払戻金の受取人が同一の場合 受け取った減額払戻金は,一時所得として所得税の課税対象となる。 一時所得の必要経費の計算方法は,次のとおり。 ・減額払戻金が払込保険料よりも大きい場合 払込保険料額が必要経費となる。 ・減額払戻金が払込保険料よりも小さい場合 減額払戻金と同額が必要経費となる。したがって,課税所得は発生しない。 <2> 保険料負担者と減額払戻金の受取人が異なる場合 減額払戻金は,保険料負担者から受取人に贈与されたものとみなされ,全額が贈与税の課税対象となる。 減額に伴い,清算金を受け取った場合の一時所得金額の計算における「その収入を得るために支出した金額」について,平成12年12月号の税務弘報で国税庁課税部審理室の酒井克彦氏が次のような見解を述べているので紹介しておこう
(5)期間の変更時 期間の変更に伴って受け取った払戻金については,前項の減額の場合に準じて処理する。 (6)契約者の変更時 <1> 被保険者でない保険契約者が死亡し,その相続人が保険契約者となった場合の税務 被保険者でない保険契約者が死亡した場合の生命保険契約の権利の評価の取り扱いについては,次のように相基通3−36により定められている。 (a)死亡した者が当該契約による保険料(注)を負担している場合には,当該契約に関する権利は相続人その他の者が相続により取得する財産となる。 (b)死亡した者が,当該契約による保険料を負担していない場合には課税しないものとする。
<2> 被相続人が保険契約者および被保険者でなく,保険料を負担していた場合は,その被相続人が死亡したとき保険契約者が,保険料の負担者である被相続人から生命保険契約の権利を相続または遺贈によって取得したものとみなされる(相法3<1>三)。この場合は,そのとき以後,当該契約者が自ら保険料を負担したものと同様に取り扱うこととされている(相基通3−35)。 <3> 新旧契約者がその生存中に契約者名義を変更した場合 (a)無償変更すなわち旧契約者が何らの対価の支払を受けずに新契約者名義に変更した場合は,変更時に贈与税の課税は生じないとされている。その理由については,相続・贈与 の「(1)保険料を負担した第三者が死亡した時点ではじめて当該契約者が相続または遺贈により生命保険契約の権利を取得したものとみなす理由」を参照のこと。 (b)有償変更の場合で新契約者が変更時点での解約払戻金等の相当額(契約返戻金のほかに前納保険料の金額,配当金の分配額等がある場合は,これらの金額を含む。)の対価を旧契約者に支払えば,課税関係を生じないであろう。 (c)旧契約者法人,新契約者個人(被保険者同人)で,無償変更時点で解約払戻金等があれば一時所得,給与所得あるいは退職所得とされる。これと反対に旧契約者個人(被保険者同人),新契約者法人の場合,解約払戻金相当額は法人の雑収入(受贈益)とされよう。 (7)受取人の変更時 受取人変更については,その時点では特に課税上問題は生じない。
保険料負担者と受取人が同一人の場合は,解約返戻金は一時所得となる(所令183<2>)
(1)特約のあらまし 個人向け保険に付加できる主な特約には次のようなものがある。 <1> 災害割増特約 被保険者が不慮の事故によって死亡し,または高度障害状態になったときに災害死亡保険金,高度障害保険金を支払うことを目的とした特約である。 <2> 傷害特約 被保険者が不慮の事故によって死亡し,または身体に傷害を受けた場合に災害死亡保険金,障害給付金を支払うことを目的とした特約である。 <3> 災害入院特約 被保険者が不慮の事故によって入院したとき,災害入院給付金を支払うことを目的とした特約である。 <4> 疾病入院特約 被保険者が疾病,不慮の事故により入院または所定の手術を受けたとき,疾病入院給付金,手術給付金を支払うことを目的とした特約である。 <5> 成人病入院特約 被保険者が,成人病により入院,または所定の手術を受けたとき,成人病入院給付金,成人病手術給付金を支払うことを目的とした特約である。 <6> 特定疾病定期保険特約 がん,急性心筋梗塞,脳卒中に罹患したときに特定疾病保険金を支払う特約である。 <7> 特定損傷特約 骨折,関節脱臼,腱の断裂により治療を受けたときに給付金を支払う特約である。 <8> 介護保障特約,ナーシング・ニーズ特約 被保険者が寝たきりや痴呆によって要介護状態になったとき,介護給付金(年金)が支払われる特約である。ナーシング・ニーズ特約は死亡保険金の全部または一部を将来の死亡保険金に代えて前払いして一時金で支払う特約。 <9> リビング・ニーズ特約 余命6か月と判断されたときに保険金が支払われる特約である。 (2)特約の税務 <1> 特約保険料と生命保険料控除の関係 特約も含め,生命保険料控除の対象となる。(リビング・ニーズ特約およびナーシング・ニーズ特約については保険料不要) <2> 特約保険金・給付金の税務処理 (イ)災害割増特約 前掲の「2.保険金」「3.高度障害保険金・障害給付金」を参照。 (ロ)傷害特約,災害入院特約,特定損傷特約,介護保障特約等 所令30に「損害保険契約に基づく保険金及び生命保険契約に基づく給付金で,身体の傷害に基因して支払いを受けるもの」は,非課税とされるとあるので,傷害を原因とする死亡を伴わない生命保険契約に基づく標題の諸給付金は非課税となる(所基通9−20(注)) (ハ)疾病入院特約,成人病入院特約,特定疾病定期保険特約等 疾病による入院給付金等は所基通9−21により実務上は,現在非課税扱いになるものとして処理されている。 なお,これらの入院給付金は一時金で受け取るもののほか年金で受け取るものも非課税扱いとなる(所基通9−21)。 (ニ)リビング・ニーズ特約 「満期(死亡)保険金・災害(入院)給付金等・解約返戻金」の11項参照。
<1> 生命保険料控除の適用の可否は,実際に払い込まれた保険料ではないと解されるので,その適用はない。 <2> 保険料免除に伴う税務上の取り扱いは,一般に保険料の払い込み免除がなされた段階では課税されず,消滅時点での課税がなされている。 (1)一時所得となる場合の帰属年度 一時所得の総収入金額の収入すべき時期は,その支払いを受けた日によることとなっている。ただし,その支払いを受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては,その通知を受けた日より,また生命保険契約等に基づく一時金のようなものについては,その支払いを受けるべき事実が生じた日によることになっている(所期通36-13)。 (2)相続税・贈与税扱いとなる場合の帰属年度 相続税について,所得の帰属する時期すなわち財産取得時期は相続の開始の時による。贈与の場合にあっては,税法上は書面によるものについてはその契約の効力が発生した時により,書面によらぬものについてはその履行の時による(相基通1・1の2共−7)が,保険金の受け取りの場合については書面によるものと解せられ,従って満期日,あるいは死亡日等が所得の帰属する時期すなわち財産取得期となる。
(1)支払調書の定義 支払調書とは,公正な申告とそれによる妥当な課税とを志向して生命保険金その他の支払いに関し,支払者に提出を税務上義務づけている書類のことである。
(2)所 得 税 満期,死亡,解約等保険事故の発生に伴い支払われた保険金等が一時所得あるいは雑所得となる(ただし,支払調書の提出を要しないものとされた場合を除く。)場合,生命保険会社は,支払いの確定した日の属する年の翌年1月31日までにその所在する所轄税務署長(民間生保会社では本社所在地の税務署)あてに支払調書を提出しなければならない(所法225<1>四)。 (イ)支払調書発行の対象となる保険金等 生命保険契約に基づいて支払う保険金(年金を含む。)および解約返戻金(所令347<1>一),郵便年金契約に基づいて支払う年金及び返還金,生命保険料控除に掲げる契約(個人年金保険契約含む。)に基づいて支払う共済金及び解約返戻金,財産形成給付金又は第一種もしくは第二種財産形成基金給付金など。ただし,適格退職年金契約に基づき支払う年金,一時金については,生命保険会社から給与源泉徴収票,退職所得源泉徴収票を税務署へ提出することになっているので,支払調書の提出は要しない。 (ロ)支払調書の主な記載事項(所規86,所規別表第五(十四)) (T) 「住所又は居所」………支払調書作成時の状況により記載する。 (U) 「未払利益配当金」……保険金支払い時もしくは,支払い後に分配する契約者配当金を記載する。 (V) 「既払保険料等」………表定保険料合計額から保険金等の支払い前に支払い等を受けた契約者配当金の合計額を差し引いた金額を記載する。 (W) 「保険事故等」…………死亡,満期,解約等の支払事由を記載する。 (X) 「保険金額等」…………死亡保険金,満期保険金,解約返戻金相当額を記載する。 (ハ)支払調書の提出を要しないもの(所規86) イ.同一人に対するその年中の年金支払金額が20万円以下である場合。 ロ.生命保険契約等に係る一時金(保険金)又は財形給付金若しくは第一種・第二種財形基金給付金で1回に支払うべき金額が100万円以下である場合。 ハ.前述のイやロに揚げる場合のほか,その年中に支払うべき生命保険金等につきすでに相続税法の規定による調書が提出されている場合。 (3)相続税・贈与税 満期,死亡,解約等保険事故の発生に伴い支払われた保険金等(100万円以下は除く)に相続税あるいは贈与税が課せられる場合,生命保険会社は支払いをした日の翌月15日までにその所在する所轄税務署長(民間生保会社の場合,本社所在地の税務署)あてに支払調書を提出しなければならない(相法59<1>一)。 所得税の課税対象となるものについては,道府県民税・市町村民税が課税される。相続税・贈与税の課税対象となるものについては,道府県民税・市町村民税は課税されない。 Q&Aの「所得税と保険税制」<個人事業主をとりまく生命保険契約の税法上の取り扱い>を参照。
生保各社・農協共済などでは,昭和50年代早々から中途増額,物価スライド制度など開発し,契約者サービスの一層の充実をはかっているが,これらの制度を利用した場合の受取保険金の課税関係はどうなるか。
(ただし,満期の場合,Bは合計100万円保険料を負担したとする。) この場合の課税関係は次のとおり。
(注)A,Bとも満期保険金支払い事由の発生まで生存中とする。 (2)物価スライド保険の場合 (1)の中途増額の場合と全く同じ課税関係になる。
15.保険金の減額を伴う場合の税務上の取り扱い(6.(4)「減額への変更時」参照) 増額保険金のときと全く同じ考え方で処理される。ただし,減額払戻金はなかったとする。 (注)A,Bとも満期保険金支払い事由の発生まで生存中とする。
(ただし,満期の場合,Bは合計200万円保険料を負担したとする。) この場合の課税関係は次のとおり。
16.契約者貸付(契貸),自動振替貸付(自振)があった場合の受取保険金の税務 契約者が契貸・自振を受け,未だ貸付金の返済を行っていないときに,その契約者に対する保険金の支払い等がある場合は,約款上,その貸付金の元利合計額を保険金から差し引くことになっているが,この場合の税務上の取り扱いは次のとおり行う。 (1)保険金等がみなし相続財産となる場合 <1> 死亡保険金700万円(=1,000万円−300万円)がみなし相続財産となり,相続税が課せられる(相基通3−9)。保険金非課税の特典(500万円×法定相続人の数)はもちろん受けられる。 <2> 契約者貸付・自動振替貸付元利金300万円の額に相当する保険金及びこの300万円に相当する債務はいずれもなかったこととされる(相基通3−9)。 (2)保険金等がみなし贈与財産となる場合 <1> 受取人(妻)が実際に取得した額200万円(=500万円−300万円)は,贈与財産として贈与税が課せられる(相基通5−1)。 <2> この場合,契貸・自振元利金300万円は,契約者(夫)に対する一時金として一時所得の対象となる(所法22,同34,所基通34−1(4)) なぜなら,保険契約より妻が受けた保険の利益は,実質的には夫の契貸・自振等の借入金を差し引いた残りの金額であり,一方,夫が契約者としての地位にもとづいて借り入れた借入金の元利合計額は,保険金支給時に保険金と相殺されることになるから──つまり,相殺される保険金は一時所得として夫が取得し,このあと契貸・自振等の借入金(元利合計額)の返済にあてたとみることができるからである。 この場合の課税所得の求め方は,次のとおりである。 (3)保険金等が一時所得となる場合
満期保険金等から支払保険料相当額(自振分を含む。)と振替貸付に係る利息,特別控除50万円を差し引いた残額が一時所得となる。
●生命保険料の借入金に係る利息の控除 生命保険の保険料について,銀行などの金融機関から借り入れ,一括払いで払い込むケースがある。契約者(保険料負担者)がこの契約の保険金や解約返戻金を受け取れば,一時所得として課税される。借り入れを行えば,当然利息が発生するが,この借入金利息について一時所得の計算上,控除できるのだろうか。
「相続,遺贈または贈与により取得したとみなされる生命保険契約に関する権利」ならびに「相続税法第24条と年金受給権の評価」のところを参照ください。
18.個人契約を転換した場合の所得税法上及び相続税法上の取り扱いについて (1)転換時の取り扱い 契約転換時の所得税法上及び相続税法上の取り扱いについては,昭和53年2月10日直資2−35・直所3−4という個別通達で,国税庁直税部長から社団法人生命保険協会あて後掲のとおり見解が明らかにされている。(現在,この個別通達中の相続税関係のところは,昭和57年の相続税法基本通達の改正で相基通5−7に採り入れられている。) (2)契約消滅時の取り扱い たとえば,満期を迎え受取保険金が一時所得として課税される場合,保険金等から控除する必要経費(その収入を得るために支出した金額)は次のようにして計算する。 (被転換契約の実払保険料)+(転換後契約の実払保険料)=その収入を得るために支出した金額 ただし,転換時に,貸付金(契約者貸付や振替貸付)を被転換契約の責任準備金から取りくずして精算した部分がある場合には,その精算に対応する額は上式のその収入を得るために支出した金額から控除することとなる。
ドル建て生命保険の保険料を支払ったり保険金を受け取った場合,その後の課税計算等は邦貨換算の後に行うが,この取り扱いは「外貨表示額の邦貨換算」(所基通213−1以下)の規定で定められている。通達では,為替レートの中で外貨建て契約の円換算にあたって中心となるのが「対顧客直物電信買相場」(TTB)と「対顧客直物電信売相場」(TTS)である。外為銀行からみた外貨の売買で法人や個人が外貨を円貨に換えるときはTTB相場を使い,逆に円貨を外貨に換えるときはTTS相場を使うことになる。保険契約についてもこれに従って処理することとなる。
(1)保険料の非課税規定 消費税法第6条(非課税)において,別表第1(第6条関係)に掲げるものには,消費税を課さないものとすると規定されており,保険料については次のように規定されている。 (消法別表第1の3) 保険料を対価とする役務の提供(当該保険料が当該役務の提供に係る事務に要する費用の額とその他の部分とに区分して支払われることとされている契約で政令で定めるものに係る保険料(当該費用の額に相当する部分の金額に限る。)を対価する役務の提供を除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの すなわち,保険契約に基づく保険料は非課税であり,適格退職年金契約等に係る事務費用部分など事務に要する費用の額に相当する部分は課税される(消基通6−3−1)。
(2)保険料に類する共済掛金の範囲 共済制度に係る共済掛金についても,保険料と同様に非課税とされ,別表第1の3の規定中「その他これらに類するものとして法令で定めるもの」を受けて,消費税法施行令第10条第3項第13号において,次のように規定されている。 (消令10<3>十三) 保険料に類する共済掛金その他の保険料に類するものを対価とする役務の提供(農業協同組合法第10条第1項第8号(事業)の事業を行う農業協同組合連合会の法人税法第84条第1項に規定する適格退職年金契約に該当する生命共済の契約その他大蔵省令で定める契約に係る掛金を対価とする役務の提供のうち,当該役務の提供に係る事務に要する費用の額として区分して支払われる金額に係る部分を除く。) (3)保険金等 保険金または共済金(これらに準ずるものを含む。)は,保険事故の発生に伴い受けるものであるから,資産の譲渡等の対価に該当しない(消基通5−2−4)。 (4)保険代理店報酬等 保険代理店が保険会社に対して契約締結の代理または契約締結の媒介等として行う役務の提供は,保険に関して行うものであるが,「保険料を対価とする役務の提供」に該当しない。 したがって,保険代理店が収受する代理店手数料または保険会社の委託を受けて行う損害調査または鑑定等の手数料は,課税資産の譲渡等に該当し,課税される(消基通6−3−2)。 |
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