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■◇財形制度と財形保険 ■勤労者財形貯蓄積立保険の特長と税務 ■財形住宅貯蓄積立保険の概要 |
◇財形制度と財形保険
1.財形保険の種類 財形保険は,国の政策として制定された財形制度の運営の方法として,とくに作られた保険種類である。財形制度とは,簡単にいえば賃金により生活している勤労者が,自分の資産(貯金・住宅等)を持とうとするときに,国や事業主(企業等)が援助をする制度である。この制度は「勤労者財産形成促進法」(以下「財形法」という。)に基づいて制定されている。 一般に財形保険といわれている保険商品には,次の5種類が含まれている。 ? 勤労者財産形成貯蓄積立保険……通称「一般財形」といわれる一般的な貯蓄のための保険である。 ? 財形年金保険,財形年金積立保険……通称「財形年金」といわれる老後の年金給付を取得するのを目的とした保険である。 ? 財形住宅貯蓄積立保険……通称「財形住宅」といわれる住宅取得を目的とした保険である。 勤労者財産形成貯蓄積立保険,財形年金および財形住宅は,次の勤労者財産形成給付金保険および勤労者財産形成基金保険に対して,勤労者自身が貯蓄を行う「個人財形」であり,「第一財形」ともいわれる。なお,勤労者財産形成貯蓄積立保険は,従来「勤労者財産形成貯蓄保険」として昭和50年8月から販売していたものを,昭和52年10月に仕組みと内容を抜本的に改正し,改めて上記の呼称で販売しているものである。財形年金は,財形法の改正により,昭和57年10月1日より新たに販売したものである。また,財形住宅は昭和63年4月1日から新発売された。 ? 勤労者財産形成給付金保険……勤労者の財産形成の援助を目的として,事業主が保険会社と契約し,賃金とは別に従業員のために拠出をする保険で,「企業財形」または「第二財形」ともいわれる。 ? 勤労者財産形成基金保険……勤労者の財産形成の援助を目的とし,労使双方によって構成される社団法人(「財形基金」という。)が保険会社と契約し,事業主から拠出された従業員のための金銭をこれに委託運営させ,給付する保険で,「第三財形」ともいわれる。
2.財形制度の背景と推移 昭和40年代の高度成長時代に,わが国の勤労者の賃金水準は著しく上昇し,生活水準は欧米なみといわれるほどになった。しかしそれは,賃金などの流動的資産(フロー)の面の向上であって,個人の持家や貯蓄などの蓄積的資産(ストック)の面では,まだまだ欧米に及ばないのが実情であった。 このような勤労者をめぐる状況の著しい変化と,高度経済成長の中で生じた社会的不公平感などの「ヒズミ」を是正する意味からも,勤労者に対する新たな視点からの政策が求められ,昭和46年の財形法の成立をすることとなった。この法律に基づき,昭和47年から信託,証券,銀行等によって発足した財形の販売活動は順調に進んだ。 一方,わが国の生保業界でも財形制度への生保参入を目指して行動を開始し,ようやく昭和50年から生命保険会社も財形を取り扱うことができるようになった。さらに,昭和57年10月には,財形法が改正され,財形年金制度がスタートした。従来,勤労者の老後の経済保障は,厚生年金保険等の公的保障に加えて,退職一時金や企業年金等の企業保障に委ねられてきたが,わが国の高齢化社会の急速な進展により,第一の保障である公的保障も財政面にカゲリが見え始めた上,第二の保障である企業保障もわが国経済の高度成長がかつてのように望めなくなり,福利厚生制度としての給付の改善に多くを期待できなくなった。したがって勤労者の老後生活は,自助努力による経済保障に強く依存せざるを得ない状況になってきている。 財形年金制度は,公的保障や企業保障の限界を踏まえて,豊かな老後生活の実現のために,第三の保障といえる自助努力の必要性を重視し,これを税制面から優遇する措置として財形法に導入されたのである。 そして,昭和62年の財形法の改正では,マル優等非課税貯蓄の原則廃止との関係から使途が特定されていない一般財形に対して,他の金融商品と同様に20%(国税15%,地方税5%)の源泉分離課税が適用されることになった。しかし,勤労者の資産形成はまだ他の層に比べて立ち後れが見られ,貯蓄に対して国が援助することで勤労者の資産形成を促進するという財形制度の意義は失われていないとの観点から,勤労者の資産形成の中で最も必要性の高いと認められる年金資産の保有と持家取得の促進を図るため,昭和63年4月1日から従来の財形年金制度に加え,財形住宅制度が創設された。財形年金と財形住宅については,利子等の非課税制度が適用される。 なお,この改正で財形貯蓄の対象に損害保険契約が含められることとされ,5種類の財形商品が発売された。 平成5年度の税制改正により,財形住宅(年金)貯蓄契約の非課税限度額が500万円から550万円(生命保険・損害保険等の財形年金契約については払込保険料等で350万円から385万円)に引き上げられたが,これは,平成6年1月1日以後に預入等をする財形住宅(年金)契約について適用された。
3.財形制度の内容 財形制度には,次の7つの柱がある。 (1)財形貯蓄制度 利子等は20%の源泉分離課税となるが,給与天引であり,財形持家個人融資,財形教育融資を利用することができ,財形給付金や財形基金制度の対象となる。 保険の場合,勤労者財産形成貯蓄積立保険が,この制度に利用される。 (1)財形年金制度 財形法で定めた要件の範囲内で,所定の金融機関の財形年金制度に加入した場合に,税法上の特典という国の援助がある。 すなわち,積立額550万円(生保の場合,払込元本385万円。ただし,財形住宅合算で550万円。)までは,利子が非課税となり,さらに年金開始後に受け取る年金についても非課税扱いとなる。保険の場合,財形年金保険および財形年金積立保険がこの制度に利用される。 (3)財形住宅制度 財形年金制度と同じく,財形法で定めた要件の範囲内で,所定の金融機関の財形住宅制度に加入した場合に,税法上の特典という国の援助がある。 すなわち,積立額550万円(生保の場合,払込元本550万円。ただし,財形年金合算で)までは利子が非課税となる。 保険の場合,財形住宅貯蓄積立保険がこの制度に利用される。 (4)財形持家融資制度 財形貯蓄または財形年金,財形住宅を行った勤労者が持家を取得しやすくするために,事業主が国から資金融資を受けて住宅を建築 (または購入)して勤労者に分譲する制度(財形持家分譲制度)や,事業主が国から資金融資を受け,それを勤労者に転貸する制度(財形転貸融資制度)および勤労者が直接融資を受ける制度(財形直接融資制度)が利用できる。 この財形転貸融資制度と財形直接融資制度を個人融資制度と称し,昭和57年10月より国からの利子補給制度が新たに加わった。 (5)財形教育融資制度 財形貯蓄または財形年金,財形住宅を行っている勤労者には,自己や親族の高等学校や大学またはこれに準ずる教育施設への進学や在学中に必要な資金の融資を国から受けられる。 融資方法には,事業主が国から資金の融資を受け,これを勤労者に転貸する方法(転貸融資)と,勤労者自身が国から直接融資を受ける方法(直接融資)とがある。 (6)財形給付金制度 勤労者の財産づくりを早めるために事業主が援助を行う制度である。財形貯蓄または財形年金を行っている勤労者のために事業主が掛金を負担し,これを金融機関が運用し,7年ごとに一時金で勤労者に給付するという内容のものである。 保険の場合,勤労者財産形成給付金保険がこれに利用される。 (7)財形基金制度 勤労者の財産づくりを援助するために,財形給付金制度と同様の趣旨で設けられた制度であって,勤労者とその雇用する事業主によって構成される法人である「財形基金」が,事業主から拠出された金銭を財形基金契約を通じて金融機関に委託運用させ,基金の加入員である勤労者に原則として7年ごとに基金給付金を支給させる。この基金給付金の支給により勤労者の財産形成を促進させる制度である。 保険の場合,勤労者財産形成基金保険がこれに利用される。
1.特 長 勤労者財産形成貯蓄積立保険は,生存給付を主たる給付とした貯蓄保険の1つであるが,通常の貯蓄保険と異なる点は,財形貯蓄制度のための専門の商品であることである。そのため,通常の貯蓄保険とは違った次のような特長がある。 (1)貯蓄保険の1つで個人保険である。 (2)国の財形制度の適用が受けられるように設計された財形貯蓄専用の保険である。 (3)生命保険料控除の適用はない。 (4)保険料の払い込みは,事業主が勤労者の給与または賞与から天引きして払い込むことを要する。 (5)契約締結後,保険期間の延長・短縮,保険料の増・減額,保険料払込方法の変更などが一定の範囲内で自由に行える。
2.税務面の取り扱い (1)保険料 払込保険料については,一般の生命保険のような「生命保険料控除」の適用はない。 (2)満期保険金,解約返戻金 満期保険金(または返戻金)に積立配当金を加えた金額から保険料累計額を差し引いた金額が課税対象となり,20%(所得税15%,住民税5%)の源泉分離課税を受ける。ただし,海外勤務者(非居住者)については所得税(15%)のみ課税される。 (3)死亡・高度障害給付金 財形法上財形貯蓄保険契約によるいわゆる死亡保険金の支払いは災害時の場合に限り行われることになっているので,普通死亡(高度障害)の場合には給付金が支払われる。 従って,死亡給付金の受け取りに関する税務も,一般の死亡保険金が相続税法第3条によりみなし相続とされ,同法第12条により法定相続人数×500万円は非課税とされているのと異なり, 死亡給付金は相続税法第2条の相続とされ,いわゆる非課税財産規定の適用はないと考えられる。 高度障害給付金は所得税法施行令第30条第1号の「身体の傷害に起因して支払を受けるもの」に該当するので,非課税である。 (4)災害死亡・災害高度障害保険金 災害死亡保険金は生命保険金であるので,みなし相続とされ,相続税法第12条の非課税財産規定の適用がある。災害高度障害保険金については,高度障害給付金と同様非課税である。
財形法の改正(昭和63年4月1日)により住宅取得等(昭和63年6月より増改築工事を含む。)を目的とした財形住宅貯蓄が新設されることになったことに伴い,財形住宅貯蓄専用として,財形法及び同法施行令に定める住宅取得等のための生存給付金を支払うことのほか,保険期間中に勤労者が死亡又は所定の高度障害状態に該当したときに所定の給付を行う財形住宅貯蓄積立保険が昭和63年4月1日から発売された。
1.仕組み図
2.給付内容
3.保険料払込限度 (1)保険料払込最高限度は,財産形成非課税住宅貯蓄申告書に記載された金額以下とする。 (2)最低保険料は,非課税限度額を超過させない手段を講じる場合を考慮し,規定しない。 4.保険料払込方式及び払込方法 (1)払込方式は,定期払込及び財形給付金,財形基金に係る金銭による払い込み。 (2)払込方法(定期払込)は,月払,賞与時払,月払と賞与時払の併用,その他会社が定める方法。 5.保険期間及び契約年齢範囲 (1)保険期間は,5年以上40年以下。ただし,保険期間満了の日における年齢が85歳を超えることはできない。 (2)契約年齢範囲は,15歳以上54歳以下。 6.危険選択 告知書扱い
財形住宅貯蓄積立保険等の税制面の取り扱いを規定している租税特別措置法第4条の2(勤労者財産形成住宅貯蓄の利子所得等の非課税)のあらましを記述する。 ? 対象者 55歳未満の勤労者であって,金融機関等と締結した財形住宅貯蓄契約に基づく財形住宅貯蓄の預入等に関して,賃金からの天引預入等に関する契約を締結している勤務先に,給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人に限られる(措法4の2?)。 なお,財形住宅貯蓄は一人一契約に限る(財形法6?)。 ? 対象となる財形住宅貯蓄 勤労者が,金融機関等と締結した財形住宅貯蓄契約に基づく預貯金,郵便貯金,合同運用信託若しくは,有価証券又は生命保険若しくは損害保険の保険料若しくは生命共済の掛金で一定のもの(措法4の2?)。
? 非課税の手続きのあらまし イ)財形住宅貯蓄の利子等につき非課税の適用を受けるためには,「財産形成非課税住宅貯蓄申告書」を勤務先と金融機関の営業所等(郵便局を含み,金融機関又は証券会社等の営業所又は事務所をいう。)を経由して,勤労者の住所地の所轄税務署長に提出する必要がある(措法4の2?)。
ロ)この申告書の提出は,勤労者1人につき,一種類,一店舗に限られ,勤務先は非課税枠を超える申告書を受理できない(措法4の2?)。 ? 非課税とされる利子等 預貯金,合同運用信託,有価証券の場合は,原則として年々,利子,収益の分配が確定し,その段階で非課税要件を満足すれば非課税とされる。これに対して,生命保険,損害保険,生命共済の場合は,積立段階の運用益部分は個人に帰属せず,その積立金の払い出し段階において課税関係が生じる。つまり,積立金のうち掛金部分を超える部分が所得税法上は一時所得として課税されることになるが,この部分が非課税とされる。
? 非課税限度額 非課税限度額は,勤労者1人につき財形年金貯蓄の非課税限度額を含めて元本550万円。ただし,生命保険若しくは損害保険の保険料又は生命共済の掛金については,払込保険料総額(又は掛金総額)により判定する。 ? 要件違反の場合の課税 財形住宅貯蓄については,住宅取得資金として活用されることを確保するため,要件違反の事実が生じた場合には,その事実が生じた日前5年内に支払われた利子等については,その事実が生じた日において利子等の支払いがあったものとみなして,20%の源泉分離課税の対象とすることとされている(措法4の2?)。 なお,生保型財形住宅の場合は最終課税方式のため5年間分ではなく,払い出し時の差益に対し20%源泉分離課税される。
1.財形年金保険の概要 財形年金保険は,年金給付と保険料積立期間中の死亡給付をセットした養老保険タイプの年金保険である。この年金保険は,財形年金制度のための専用の商品であって,勤労者財産形成年金貯蓄契約として税法が定める優遇措置を受けることができる。次のような特長がある。 (1)年金保険の1つで個人保険である。 (2)国の財形制度の適用が受けられるように設計された財形年金専用の保険である。 (3)元本385万円まで利子非課税となる。 (4)生命保険料所得控除の適用はない。 (5)保険料の払い込みは,事業主が勤労者の給与から天引きして払い込むことを要する。 (6)加入資格は,55歳未満の勤労者に限る。 (7)積立期間は,5年以上の期間にわたって,定期に積立てを行うことが必要。 (8)年金の支払いは,60歳以降,5年以上の期間にわたって定期的に支払われることが必要。 (9) 加入に際しては,1人1契約1金融機関の制限がある。 (10)年金支払い開始日前は,死亡の場合を除き,払出し等は禁止されている。 (11)据置期間は,積立て終了後5年以内である。 (12) 保険料払込期間および据置期間中には,死亡・高度障害の保障がある。
2.財形年金積立保険の概要 財形年金積立保険は,財形貯蓄積立保険と年金給付をセットした積立てタイプの年金保険である。この財形年金積立保険は,財形年金保険と同じく財形年金制度の専用の商品であって,勤労者財産形成年金貯蓄契約として税法が定める優遇措置を受けることができる。 この商品の仕組みは,年金支払開始日前は財形貯蓄積立保険とほぼ同じ内容である。年金支払開始日以後は財形年金保険とまったく同一の仕組みである。この保険の加入要件,配当金の支払方法および税制上の優遇措置も財形年金保険と同一の取り扱いとなる。
財形年金保険等の税制面の取り扱いを規定している租税特別措置法第4条の3(勤労者財産形成年金貯蓄の利子所得等の非課税)のあらましを記述する。 ? 対象者 国内に住所を有する55歳未満の勤労者で,財形年金貯蓄契約に基づく財形年金貯蓄の預入等に関して,賃金からの天引預入等に関する契約を締結している勤務先に給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人に限る(措法4の3?)。 なお,財形年金貯蓄契約は1人1契約に限る(財形法6の3)。 ? 対象となる財形年金貯蓄 勤労者が,金融機関等と締結した財形年金貯蓄契約に基づく預貯金,合同運用信託若しくは,有価証券又は生命保険若しくは損害保険の保険料,生命共済の共済掛金若しくは郵便年金の掛金で一定のもの(措法4の3?)。
? 非課税の手続きのあらまし イ)財形年金貯蓄の利子等につき非課税の適用を受けるためには,金融機関の営業所等,賃金の支払者等の名称,所在地,財形年金貯蓄の種類の別,非課税枠等を記載した「財産形成非課税年金貯蓄申告書」を勤務先と金融機関の営業所等(郵便局を含む。)を経由して,最初に預入等をする日までに,勤労者の住所地の所轄税務署長に提出しなければならない(措法4の3?)。 ロ)この申告書の提出は,勤労者1人につき1種類,1店舗とされ,勤務先は,非課税枠を超えることとなる申告書は受理することができない(措法4の3?)。 ? 非課税とされる利子等 非課税とされる利子等は,預貯金,合同運用信託,有価証券の場合は,年々の各計算時期に対応する利子・収益の分配とされるが,生命保険,損害保険,生命共済,簡保の年金保険の場合は,年金として受け取る金額のうち掛金部分を超える部分(雑所得に相当する金額)とされる。これらの積立段階や据置期間中の運用益部分は,貯蓄者に帰属せず,従って,その段階での課税・非課税の問題は生じない。(措法4の3?)。
? 非課税限度額 非課税限度額は,勤労者1人につき,財形住宅貯蓄の非課税限度額を含めて元本550万円とされる。ただし,年金型の財形貯蓄のうち,生命保険,生命共済,損害保険,簡易生命保険,郵便年金については,保険料総額(又は掛金総額)で385万円を限度とされる(550万円と385万円との差額は,財形住宅貯蓄の非課税限度額として利用できる。)(措法4の3?)。
? 要件違反の場合の課税 従来,財形年金貯蓄については,年金支払い開始日以後5年以内に要件違反(年金以外の金銭の支払い)があった場合に限り,年金支払い開始日以後に支払われた利子等について,要件違反があった日にそれが支払われたものとみなして課税することとされていた。 昭和62年の改正により,要件外払出時における支払利子等に対する課税及び追徴課税は,年金支払い段階だけでなく,積立期間中や据置期間中にも適用され,要件違反の事実(その事実の生じた日が年金支払い開始日以後である場合には,その年金支払い開始日以後5年以内に生じた事実に限る。)の生じた日の属する月以前5年以内に支払われた利子等について追徴されることとなった(措法4の3?,措令2の31)。 なお,生保型財形年金は最終課税方式のため,解約時の差益金額に対し課税されるが,その場合20%源泉分離課税ではなく,一時所得課税されることになっている(措通4の3−6)。 ただし,災害,疾病その他やむを得ない事情により解約した場合で,所轄税務署長からその確認を受けた旨の記載のある書類を財形年金貯蓄契約に係る金融機関の営業所等の長に提出したものは非課税となる(措令2の28)。
1.特 長 この保険は,財形貯蓄または財形住宅,財形年金(生保に限らずどの金融機関で行っていてもよい。)を行っている勤労者の財産づくりを早めることを目的とした商品である。 (1)保険契約の締結にあたり労働大臣の承認が必要である。 (2)加入者は財形貯蓄または財形年金を行っている者に限られる。 (3)保険料は全額事業主負担で,加入者1人当たり年間10万円を限度とする。 (4)給付は7年ごとに加入者に支払う。 平成3年4月の財形法の一部改正により,満期給付金は原則として,勤労者の財形貯蓄(一般,年金,住宅)に預入することにより支払われることとなった。 (5)零細・中小企業の場合,保険料の一部を国が補助する。 (6)事業主および加入者(受取人)に対して,次のような税制上の特典がある。
この税制の仕組みは,適格年金の税制に似ている。事業主の掛金は損金になり,掛けた時点で従業員の給与としての課税もない。給付を受け取る時点では一時所得の扱いだから,一定額までは非課税である。つまり,非課税で給与を支給して従業員の貯蓄を増やせるメリットがある。 ただし,この特典は,従業員本人が財形貯蓄をしている場合にしか利用できない。 2.財形助成金制度 財形給付金制度を中小企業で採用しやすくするために,一定要件を満たした企業が,この制度を導入したとき,国(雇用・能力開発機構)から,掛金の補助として,次のような助成金が事業主に支給される。
1.特 長 この保険は,財形貯蓄または財形住宅,財形年金(生保に限らずどの金融機関でもよい。)を行っている勤労者の財産形成を援助することを目的とした商品で,財形給付金契約と同趣旨のものであるが,財形給付金保険が従来主として従業員数100人以下の中小企業に対して販売されてきたのに対し,財形基金保険は従業員数100人以上の中堅以上の企業向けに適している。 特長としては,財形給付金保険の特長はほとんど適用されるが,その他に若干の相違点がつけ加えられる。財形基金保険は財形法に定める財形基金制度専用の保険として販売されている。 なお,財形基金制度には,財形給付金制度においては取扱金融機関に指定されなかった銀行・債券発行銀行も,新たに取扱金融機関として指定されることとなっている。 (1)保険契約の締結にあたり厚生労働大臣の承認が必要である。 (2)基金加入者は,財形貯蓄(一般,年金,住宅)を行っている勤労者に限られる。 (3)基金給付は7年ごとに,原則として,加入者の財形貯蓄に預入することにより支払われる。 (4)事業主は社団法人である財形基金(労使双方により構成される。)に対し,基金加入員(勤労者)のために財形貯蓄援助金としての拠出金を払い込む。 (5)中小企業に対しては,給付金制度と同様の中小企業助成金制度により助成金が支給される。 (6)基金設立時に調弁費にあたるものとして,基金奨励金(一律30万円)が国から支給される。 (7)事業主および基金加入者(受取人)に対する税制上の取り扱いは給付金制度と同じ。
財形給付金等の課税関係は次のようになっている。 ? 事業主が財形給付金契約等に基づき勤労者のために拠出した金額は,拠出時において事業主の所得計算上損金または必要経費に算入する(法令135,所令70?)。 ? 事業主が?により拠出した金額は拠出時において勤労者に対する給与所得課税は行われず,財形給付金の支払い時までその課税を繰り延べる(所令70)。 ? 勤労者が財形給付金の支払いを受けた場合には,課税上次のように取り扱う。
以上のように財形給付金はその支払い事由により所得区分が異なってくるが,具体的には措法29の3において次のように定められている。
? この財形給付金の積立金に対しては特別法人税が課税される。 ? 中小企業主には国から(雇用促進事業団に基金を設け,そこから)助成金を支給する。 〈参考〉 財形給付契約に係る積立金に対する特別法人税の課税 勤労者財形給付契約に係る積立金に対して,適格退職年金契約に係る積立金等の場合と同様に1.173%(国税1%,地方税0.173%)の税率による特別法人税の課税が行われる(平成16年度まで凍結。)。
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